明けましておめでとうございます。
2018年がおわり、いよいよ2019年が始まりましたね。
今年、世間ではいろいろな行事が予定されていますね。
『平成』が幕を閉じ、新しい年号の元年になります。
新しい年号が何になるのか楽しみです。
ラグビー・ワールドカップが開催されます。
風とガレの事務所がある豊田市でも、
豊田スタジアムで日本代表の試合や
南アフリカ共和国代表の試合など
好カードの試合が予定されています。
今年も、いろいろな出会いを楽しみにして、
いろいろなことに挑戦して、
たくさんの情報を発信して皆さんの家づくりや
民家再生、リノベーションのお手伝いが出来ればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
先日豊田市足助地区を車で走っていたら、
何と立派な茅葺き屋根の門を偶然、見つけました。
茅葺き屋根自体を見掛けることも少なく、
また最近では門も簡単なものになってきている中で、
とても貴重な存在です。
日本建築において、門の役割は幾つかあります。
ここでは、住まいの門なのでその観点で書こうと思います。
門の最も素朴な役割は、人を通すか否かの制御です。
住まいの門は、『通す門』の意味合いが強くなります。
この通す門は、囲むことで確保された領域に
人が出入りするために設ける開口部、
またはその位置に設けられる建築工作物が
門ということになります。
住まいの門となると、外から戻ってきた人たちは
門を入る時に我が家に帰ってきた事を実感する。
また、客人を温かく迎え入れるための門にもなります。
そこを訪れて入る客人に、門を潜るということは
その領域の慣わしに従うという暗黙の了解を暗示する
心理的な意味合いも持つそうです。
門には色々な意味合いがあるんですね。
また別の機会に他の門の事も書こうと思います。
参考文献:和風建築シリーズ2 数寄の意匠 門
発行所:建築資料研究社
先日一級建築士の定期講習を受講してきました。
この定期講習の受講は3年に一度受講することが
義務付けられているのです。
これは、建築技術の高度化に伴い、
建築物の複雑化などや建築基準法の改正なども
頻繁に行われているので、知識の更新などが目的です。
丸一日を使って講習を受け、
建築基準法の改正内容など多くの知識を勉強してきました。
その中に、何と!!
『建物の再生・再利用』という内容が記載されていました。
僕が一級建築士を受験する時は、このような項目は無かったのに…。
やはり、これからは既存建築を再生・リノベーションすることが
必要になってくるのですね。
ぜひ建築物の再生・リノベーションのご相談は、
一級建築事務所風とガレにご相談ください。
お待ちしております。
今年の夏に、元パチンコ屋を
リノベーションして、
子供と大人をアートで繋ぐ遊び場に変わりました。
初めて現場を見た時の印象は、
『この空間をどの様にして子供たちが
アートを楽しめる様にできるかな。』でした。
まずは、この場所を公の場として活動していくために
コンプライアンスの整備をします。
用途が変われば、建築基準法や消防法などの
見直しが必要です。
今回はコンプライアンスを整備するにあたり、
空間を2つに分けることが必要になりました。
その間仕切壁で何かできないかと考えました。
間仕切壁を緩やかな曲線にして、
少しずつ壁が変化していくことを
楽しめるのではないか思いました。
今回はアート活動がテーマとなるので
曲線の壁をアートで
楽しいものになると思います。
夜のイベントの時は、
今まで暗かった建物に灯りがともります。
前を通った人達は、いつもと違う景色に
何があるのか?と興味津々の様子でした。
空き家・空き店舗が活用されることは
街の活性化につながります。
これからのアトリエVIPが楽しみです。
先日、家づくりを検討している方を対象にした
家づくりセミナーの講師を行ってきました。
民家再生・リノベーション専門の設計事務所ですが、
省エネルギー住宅・ゼロエネルギー住宅などの
新築住宅の設計経験もあります。
今回は、その経験を活かして新築住宅を
計画する時の話をしてきました。
新築住宅を計画するにあたって考えることは
いろいろあるのですが、今回は『プラニング編』です。
プラニングとは、分かりやすく言うと『間取り』です。
やはり、住宅を新築する時はどの様な間取りが
暮らしやすいのか等を一生懸命考えますよね。
何を最初に考えたらよいのか?
どんなことに気を付けたら良いのか? 等…。
これらの事をセミナーでお話をしました。
一番大切なことは、住宅を建てる敷地の周りが
どんな状況なのかをじっくりと観察することなんです。
そこから間取りを考えていくと良いですよ。
民家再生・リノベーション専門の設計事務所ですが、
省エネルギー住宅・ゼロエネルギー住宅の設計経験も
ありますので、新築をご検討している方でも
お気軽にご相談ください。
僕が民家再生・リノベーションを
志すようになったのは、学生時代に
欧州をバックパッカーで旅をしている時に
建造物が昔ながらのままに保存されつつも
中に入ると現代の内装になって、
活用されている事に感動したからです。
日本でも同じように
今ある建物を活用して保存していく設計が出来たら
その建物を利用する人や街を歩いている人たちは
楽しくなるのではないかと思ったのです。
日本でも、同じように歴史的建造物を使いながら
保存している建物は各地であります。
例えば、和菓子屋さんだったり、酒屋さんだったり。
でもまだまだ、ほんの一部でしかありません。
ほどんどが、解体されてしまっているのが現実です。
やはり、その地域にあるものを残して活用すると
これまでの時間の経過や地域の歴史を少なからず
感じることができるのではないかと思います。
その感じることがその街を歩いている人達や
建物を利用している人達に楽しみを与えるのかなと思います。
少しでもそのお手伝いがしたいと思っています。
みなさん、この写真が何かご存知ですか?
大阪府吹田市にある太陽の塔です。
1970年アジア初の万博博覧会が
開催された時に、前衛芸術家・岡本太郎が
プロデュースしたテーマ館です。
当時の様子の写真がパンフレットに
掲載されていました。
この塔が一体何を表しているのかは、
岡本太郎本人が何も語っていないため、
分かっていません。
しかし、特徴的な3つの顔については、
はっきりしているそうです。
まずこちら2つの顔です。
頂部の黄金色部分は、未来。
腹部は、現在。
そして、もう一つは背面にあります。
こちらの背面にある黒色部は、過去。
岡本太郎が『いつでも人類の過去、現在、未来が
一体になって輪廻している』
と考えていたからだそうです。
2016年から始まった耐震改修・内部再生工事が
無事に完了して、48年ぶりに内部公開となりました。
内部は写真撮影禁止のため、
パンフレットに掲載されている写真がこちら。
『生命の樹』を中心に33種類の生き物たちを
階段で少しずつ上へ上がって行きながら、鑑賞します。
何とも不思議な作品が詰まっており、
観ていてとてもワクワクしました。
平面的でなく、立体的に鑑賞できるところも
他にない鑑賞の仕方でした。
*『太陽の塔ガイド』から一部
引用している部分があります。
先週末から始まった『とよたまちさとミライ塾2018』で
風とガレも豊田の魅力を発信するため、
「テーマは『屋根』。日本建築の屋根を徹底解明!」の
プログラムを開催しました。
昨年に初参加して、今年は2回目の参加です。
豊田市足助町には
国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている
街並みがあります。
その街並みを散策しながら、
日本建築の魅力を知ってもらう企画をしました。
昨年は、意外と気が付かない日本建築の
おもしろい所を探しながら散策する内容でした。
今年は、もう少し踏み込んで日本建築の『屋根』について
分かりやすく解説しました。
観光地でよく観る檜皮葺き(例:二条城唐門の屋根)や
杮葺き(例:桂離宮中書院)の中がどういう仕組みに
なっているか、瓦の種類や屋根のかたち、名称、など
写真を見てもらいながら解説しました。
解説した後は、実際に足助の街並みを見ながら、
日本建築の魅力を楽しんでもらいました。
参加者さんからの声
『気づきにくい点を説明してもらえて、
楽しく歩けました。』
『私は建築のことは全然わからないのですが、
わからないからこそ「なるほど」と
興味をもってお話を聞くことができました。
あと、吉谷さんが楽しそうに話されているのが
とても印象的で、本当に日本建築が好きなんだなぁと
お話に引き込まれていました。』 等
参加者さんから楽しかったと言ってもらえて良かったです。
また、機会がありましたら企画したいと思います。
朝晩が涼しいというより、
肌寒い位になってきましたね。
これから季節が冬になるにつれて
気を付けなければいけないのが、
『ヒートショック』です。
その『ヒートショック』とは、
どんな事かを説明します。
温度差によってけつあつの急激な
変動によって、意識を失ったり
脳梗塞や心筋梗塞を発症したりすることです。
その事が、昨日の新聞に掲載されていました。
ヒートショックは特に冬場の浴室で
起こるのが大半のようです。
その理由として、
寒い脱衣室で裸になり、
冷えた浴室に入ると、
血管が収縮して血圧が上昇する。
その状態で風呂の湯につかると、
体が温まって血管が拡張する。
この様に血圧がお風呂に入るまでの
短い時間に血圧が下がったり、
上がったりの変化に身体(血管)が
対応できないようです。
高齢者の多くが住んでいる住宅は
だいぶ以前の建築物のため、
断熱性能が非常に低い。
そのため、暖房のある部屋とない部屋の
温度差が大きくなり、
ヒートショックが起こりやすくなります。
これから住宅を計画している方は、
断熱性能に気をつけてください。
今は、年齢的に身体が温度差に対応できるため、
気にならないと思いますが、
30年後40年後のことも
考えて計画することも忘れないでください。
先日『ねじぐみ』について書いたときに
イタリアの建築家・カルロスカルパの
作品に使われている建具も紹介しました。
そのカルロスカルパの改修作品を
学生時代に見に行ってきましたので、
その時の写真と共に紹介します。
この作品は、イタリア・ヴェローナにあります。
改修前の建物は14世紀に
カングランデ2世によってつくられた古城を
カルロスカルパが美術館に改修したのです。
この改修でカルロスカルパは
古いものと新しいものを併置しています。
見ていて新旧の対比が
とても面白く感じる空間になっていました。
また、昔の開口部と現代の開口部は
当然技術が発達して作りそのものが
変わってきている部分をどの様に
改修しているのか気になって、
その部分を見てみると
14世紀にはまだガラスという素材がなかったと思います。
現代では開口部にガラスは必須ですよね。
そのガラスを建物の内側に取り付けて、
外観は昔のままに見える工夫が感じられました。
『昔からのイメージを崩さずに、
現代の技術を取り込み用途に合わせて活用する。』
これが改修の大きな魅力ですよね。
そうそう、改修の時に前々回のブログ紹介した
ねじぐみ格子の建具を取り入れています。
開口部の内側に入れています。
こうして見るととても、素敵ですよね。
カルロスカルパは、伝統的日本建築にも
高い関心があったそうですよ。
この格子も伝統的日本建築の影響かも…。
日本建築の屋根に使っている材料と言うと
すぐに思い浮かぶのは瓦ではないでしょうか。
西洋建築の屋根にも瓦と同じ様な
材料が使われています。
日本建築では最近見掛けることが少なくなりましたが、
寺院建築や昔の土蔵などで見かける瓦を本瓦葺きと呼びます。
瓦の大きな役目の一つは
降ってきた雨を建物の外に流すこと。
土を練って湾曲させて焼いた瓦を
屋根に並べます。
瓦と瓦の間の隙間に
雨が入っては困るので、
蓋をするように半円形に
焼いた瓦を被せています。
西洋建築の屋根は半円形に焼いた瓦を
上下交互に並べているようです。
その瓦の先端はちょっと違います。
日本建築の本瓦葺きは
半円形の先に円形の蓋を付けた
形になっており、その円形部分に
家紋や文字、三ツ巴などの
意匠性を意識しているのに対して、
西洋建築の屋根は半円形の先に
漆喰に似たものを詰めているだけです。
どちらも湾曲もしくは半円形にして
底面を通して雨を建物の外に
流すことには変わりないですよね。
日本建築と西洋建築では
違う部分もありますが、
似ている部分もあるんですね。
日本建築の調査をしていると
時どき職人の凄い技術を
目の当たりにして、
感動することがあります。
その一つに『ねじぐみ』があります。
残念ながら私も数回しか
お目にかかれていないので、
写真はありません。
では、『ねじぐみ』とは
どんな技術なのかというと
格子や組子を組む際、
組み手を縦横すべて隣同士が
裏返しになるように、
つまり、竹かごを編むように組む方法です。
格子や組子は竹のように曲がらないので、
普通には当然組めません。
そこでまるでパズルを解くように
考案されたのが『ねじぐみ』なのです。
昔は糊の粘着力が現代ほど強くないため、
組子が外れ易くなってしまうのを、
『ねじぐみ』によって外れ難くする工夫と
言われたりもしています。
ただ、実際の『ねじぐみ』の組み方を見ると、
組子の8割も欠いてしまうと
その意見は当たらないとして、
意匠としてやったのではないかと
いう意見もあります。
意匠だけなら、日本に限らず西洋にも
『ねじぐみ』と同じように隣同士が
裏返しになる組方を見つけました。
イタリア・ヴェローナにあるカルロスカルパ設計の
カステルベッキオ美術館で建具の格子です。
この建具はスチールでできているので、
組むのは容易にできたと思います。
その為、意匠として『ねじぐみ』を
使っているのでしょう。
曲げるのが容易でない、
木材で知恵を振り絞って組んだ
組子を見つけるとすごい技に
感動すら覚えます。
みなさんも、格子や障子の組子を
見る時、気にしてみてるとひょっとすると、
『ねじぐみ』に出会えるかもしれませんね。